アナザー・コールズ エピローグ


アサト、シノ、ゼナス、ブリジット、グリフィンの五人は、
無事にガートルードに到着して、それからすぐにアサトとシノは地球に帰った。
二人が出てきたのは、朝霞家のリビングルームだった。夜の八時、
当然涼も霧子もそこにいた。二人は突然現れた朝人と志乃に驚いた。
「志乃!? 朝人君も!」
「ただいま!」
「うぃす。心配かけました。もう大丈夫です。厄介事は全て片付きましたから」
「あら、そうお? もっと色々お話聞きたかったのになぁ……」
 霧子は、朝人と志乃がまるで物見遊山でもしてきたかのように言うからたまらない。
「ふむ。まあ、いいではないか。ケリを着けたのならな。でなければ、
二人ともいつまでも危険に晒されているだろうからな。霧子、見てみろ。
朝人君も志乃もボロボロじゃないか。一体何があったんだ?」
「ちょっと戦いをば……」
「戦いねぇ……まあいい。よく戻ってきてくれた。とにかく疲れただろう。
今日はもう休んでくれて構わない。積もる話もあるだろうからな」
「ご配慮感謝します」
 わざとらしく一礼してから、朝人は志乃と二階に上がり、朝人の部屋に入った。
「さて……と。どうするんだ? 俺達は。こんな魔力なんて得体の知れない力を
手にしちまって、どうすりゃいいんだかな?」
「さぁ?」
 いたって脳天気な二人の、惰性的な会話は続く。
「とりあえずは、日常生活で使わないようにしましょう。使い方を誤ると、
ただの凶器でしかないですし」
「そうだな。よっぽどの時以外には使わないようにしないとな。
最初、俺がお前の前から消えた時、お前はかなり困っただろう?」
「ええ。それはもう」
「他の人間にああいう思いをさせると後味が悪いしな。気を付けなきゃな」
「そうですねぇ」
「それで、どうする? またガートルードとかに遊びに行くか?」
「それもいいですけど、会いたくなったら向こうが呼び出してくれるんじゃないですか?
 特に重要なイベントのある時なんかは」
「まあ、そうだろうが、そりゃ重要イベントの時だろが。遊びに行く時の話だぞ?」
「あ、そうですねぇ。とりあえず、二週間後のゴールデンウィークにでも、
ガートルード、バーナバス、ルーファス、メイヴィスの四つの世界に行ってみませんか?」
「おう」
「そうしたら、今度はホプキンズさん達も一緒に、ゆっくり決戦の話とかしましょうね」
「ああ、詳しく話しておかなきゃな」
「それから、ドゥーガルドさんのお家とかにも行ってみたいなぁ……」
「そういや、俺も行ったことなかったっけか」
「そんで、グリフィンさんと一緒に、ルーファスに行きましょう」
「ううん、それはどうかなぁ? 以後ホームシックになったりしたら困るぞ、おい」
「えーと、えーと、あとへティーさんにも会わなきゃ。日本のお茶持って、
父さんや母さんも一緒に行こうと思うんですが」
「それもいいかもな……」
こうして二人の会話は、延々二時間程続いたのだった。
後ほどこれが実現するのは、しぶる涼を説得してからの事だった。

アナザー・コールズ 完


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