――いつしか地球は『地球』とは呼ばれなくなっていた。
『惑星アース』と呼ばれるようになった。
太陽系各惑星も、太陽もそれぞれに呼び名が変わり、
太陽系は『恒星サンシャイン系』と呼ぶ事が決まった時、西暦は終わった。
A・J(アフター・ジャッジメント)暦である。
そして、世界は北極、南極と新たに出来上がった三つの大陸でようやく落ち着いた。
その三つの大陸は、そのまま三つの国家となった。
最初に出来たのは、共和国と王国の長所を最大限に引き出した、
共和王国という概念によって創られた『ザン共和王国』。続いて『ダイ民主主義国』『シテージ国』が建国された。
宇宙開発が進み、スペースコロニーも多数建設され、宇宙大移民が行われた。
人は、逆境に立たされることで強くなる。その証拠に、
宇宙大移民があらかた終わる頃には、人類はかつてない発展を見せた。
それと共に、どういうわけかは知らないが、いつしか人々に『魔力』が備わっていた。
西暦最終戦争以来、色々な空想上の生物と思われていたものが、
現実に姿を現し始めたことと関係があるのかどうかは分からなかったのだが。
そうしているうち、A・Jも三千年が過ぎた。
A・J3256、不穏な空気がアースに渦巻いていた。
『神』『魔』の存在が発覚し、話題を集めていた矢先、魔王と名乗るものが、
突然人類に宣戦布告をしてきた。これに慌てる各国首脳たちをよそに、ザン国王ラルフは、
ザインという、ある若者を呼び寄せることにした。
この『ザイン=ストレンジャー』という若者に、全世界の人間が
その命運を任せることになるとは、誰も予想していなかったことは、言うまでもない……