2人と司教が対峙した。

「この村はいかがでしたか?」
マリアベルはわざとらしく聞いてきた。
「いい村だったよ……だが、立ち去り際は最悪だがな……」
「それはそれは……」

ヴァイパーはマリアベルを睨んだ。
「何が目的かは知らんが、ここから俺達は出させてもらう。」
「それは面白いですね……それが出来るんですか。」


……と、マリアベルの手が光った。
「あいにく私は貴方達と格が違うんですよ……」
そして、その手をヴァイパーに向けた。
「……っ!!」
「ライト・シューター!!」

カアッ!!

「ぐ……ぐあっ!!」
ヴァイパーの体が光に包まれた。
「ヴァイパー!!」
「ぐっ……」

光が消えた時、ヴァイパーの体はボロボロになっていた。
「大丈夫!?」
「(精神力媒体も無しに魔法を……こいつ、一体……)」

「そろそろ私の本当の名を明かしましょうか。」
司教は眼鏡を外した。
「私の名はシンシア=スターリィフィールド。初代勇者軍サブメンバーと呼ばれたアリシエル=スターリィフィールドの子孫です。」
「スターリィフィールド……!!」
「現在でも勇者の子孫は高い精神力を血筋に遺してきている……
 その差は最早努力ではどうにもならないもののようですね……」
「ふん……守護精霊の精神力ってのはある程度遺伝するからな……」

「この村に来たのは僅か数ヶ月前でした。
 そしてここにいた司教が丁度亡くなったのを機会に私はこの村で様々な奇跡を見せた……」
「聖水の泉もそうか……」
「当時の教会は錆びれてましたからね……良い機会でしたよ。
 瞬く間に信者は増え、私を信用するようになりましたよ……壮観でしたねぇ……」
「貴様、何を企んで……!!」

刹那、シンシアはヴァイパーの顔を掴んだ。
「まあ、その辺はあちらの世界でじっくり考えてください。」
「ぐっ……」
「ヴァイパー!!」

「ライト・キャノン!!」


デーティがゆっくり眼を開けると……そこには頭の焦げたリザードマンの死体。
「……っ!!」
「あっけないものですねぇ……まあ、私の妹よりは強かったかもしれませんね。ふふふ……」
「スターリィフィールド……っ!!」

シンシアはデーティを見た。
「おや、貴方も戦いますか? しかし守護精霊の無い身体で私の魔法に耐えられますかね……」
「……」

デーティは頬を引っかいた。そして……
「僕には……この力がある……」
爪から剥がれ落ちた皮膚は地面に付くと分身となった。
「覚悟しろ、スターリィフィールド……」


……だが。
「ライト・ウェイブ!!」
手から出る閃光……そして、分身は一瞬にして灼かれてしまった。
「あ……」
「無駄ですよ……貴方と同様、この分身もまた守護精霊など持たぬ存在ですからね……
 こんな低等魔法にさえ簡単に灼かれてしまうんですよ……」
「そんな……」

シンシアはデーティに手を向けた。
「覚悟は出来ていますね……」
「ぐっ……」
「そんなに嫌いな人間でもありませんでしたよ。御機嫌よう……」

……そして、制裁は下される。

「ライト・シューター!!」


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